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独学 or 吹奏楽部のフルート初心者におすすめ!フルートの独学に最適な教本と練習方法を紹介

フルートと楽譜

音大でフルートを専門に学んだ著者が、今回は主に吹奏楽部&独学者の方を対象におすすめのフルートの教本を紹介します。

はじめに

フルートの教本は練習の目的ごとに合った教本があります。
なので、目的や用途を考えた上で、教本を選ばないと、同じようなものを買ってしまったり、思ってたのと違ってたなんてこともあります。
更に、プロのフルート奏者のレッスンを受けられない方は教本も分かりやすく、継続しやすいものが良いです。
それらを踏まえて、この記事では教本を選ぶ上で必要な考え方、各教本の練習目的を解説しています。
吹奏楽でフルートをやっている人にもおすすめです。
どういった教本を使えばいいか悩まれている方はぜひ参考にしてみてください。

フルートの教本って何がある?

プロによるフルートのレッスンでは、一般的に以下の教本がよく使われています。

アルテ/フルート教則本1巻~3巻(フルートの奏法)

この教則本は練習曲に取り組みながら、段階的にフルートの奏法を学ぶための教本です。

アルテ1巻(初級)
アルテ1巻は、フルートに慣れるための基礎的な内容になっています。
巻末の方にはスケール課題と20曲あるガリボルディのミニヨンエチュードが掲載されており、最終的にはアルテ2巻に向けてこちらを重点的に練習します。スケールと同時進行で取り組みながら、より音楽的な表現も学べるようになっています。
アルテ2巻(中級~上級)
アルテ2巻は、変え指やダブルタンギング、トリルなど、より難易度の高い技術的な奏法を取得するための内容になってきます。
アルテ3巻(上級~最上級)
アルテ3巻は、特殊奏法や超絶技巧とよばれる難関な演奏技法を学んでいきます。ここまで来ると音大生くらいのレベルになります。

モイーズ「ソノリテについて」(アンブシュアの柔軟性&息のコントロール

フルートを初めてから1年くらい又は、アルテ1巻が終了した位の人を対象にしている教本です。アンブシュア(唇周り)の柔軟性と息のコントロール性を高める内容となっています。
出しやすい音と同じように、どんな音でも難なく吹けるようにする為の練習です。
特に有名なのが、中音のシから半音階ずつ降りていくロングトーンです。
しかし、実際はもっと色んな練習法があります。

タファネル&ゴーベール/17のメカニズム日課大練習(指回し

指回しアーティキュレーションなどのメカニック的な部分を鍛える教本です。
レッスンでアルテを使っている場合、1巻の最後にあるスケールやアルペジオの課題をクリアし、アルテ2巻に入る段階で、タファネル&ゴーベールが日々の練習に加わる事が多いようです。
大受験などでは、特に4番のスケール課題がよく実技試験で使われています。

エチュード(練習曲)

主に練習曲としてはガリボルディやケーラーなどがあり、曲を通して、演奏表現や技術、様々な曲の形式を学び、1曲を吹き切る体力を養う事ができます。
様々な曲想の曲があり、レッスンなどではただ譜面を吹くだけでなく、曲想にあった吹き方、音色の変化や細かなニュアンスなどを指導されます。

 

以上が一般的にレッスンなどで使われる教本です。

しかし、レッスンに通わずにこれらの教本を独学で使用するのは困難です。

独学では学ぶのが難しい教本とその理由

アルテやエチュードなどは聴き馴染みのない曲ばかりで取り組みづらいです。

また、モイーズのソノリテやタファネル&ゴーベールの日課練習などは課題が色々あり、更にその課題に、色んなパターンの練習が沢山あります。

その為、何をどの程度取り組めば良いのか、判断しづらいかと思われます。

そして、特に注意しなければならない事として、教本の中には書かれた時代が古く、現代のフルートには当てはまらない内容が、記載されていることがあります。

更にエチュードなどの曲に関しては、出版社によって誤植(譜面上の間違い)がある所も多々あります。

実際に私自身、何度もそういう場面に出くわしました。

よく聴いている曲なら気づくかもしれませんし、参考音源を聴いていて、気づくこともあるかもしれませんが、本当に間違っているのかどうかを判断するのはなかなか難しいです。

レッスンに通っていれば、先生が補足として、その点についての解説や訂正をして下さいますし、疑問点なども直接聞けます。

しかし、独学者だと鵜呑みにしてしまう可能性もあるので、あまりおすすめは出来ません。

更に費用面ではこれらの教本、特にモイーズやアルテなどはとても高価です。

吹奏楽部や独学者におすすめの教本とは?

独学でやるならば、最初のうちは聴き馴染みのある曲が入っていて、毎日やるべき基礎がある程度固定されているものを選んだ方が、集中して取り組みやすいと思います。

更に、金銭面的にも安価で手に入りやすい物が良いですよね。

また、教本にはそれぞれに役割があることをしっかり理解した上で選ぶと良いです。

 

フルートの教本の種類

そのことから項目別におすすめの教本をご紹介します。

フルートの奏法についての本

加藤克朗/フルート教本

こちらは導入編、1巻、2巻とあり、アルテの簡易版と考えてよいです。

童謡など、聴き馴染みのある曲に取り組みながら、段階的に、フルートの様々な奏法を学べます。

その収録曲の親しみやすさから、レッスンでも、よく使われる教材です。

曲は二重奏にもなっているので、アンサンブルの練習用としても使えますね。

YouTubeでもプロのフルート奏者が模範演奏を出していますので、参考にすると良いでしょう。

毎日の基礎練習に関する本

ロングトーンタンギング、スケールやアルペジオなどのフルートを演奏する上で、必要最低限の基礎を簡潔にまとめた教本が色々出版されています。

先述したように、モイーズのソノリテやタファネル&ゴーベールは内容が多様で幅広く、どれをどの程度取り組むべきか、初心者の方には判断が難しいです。

その点、こういった、特に吹奏楽部向けの教本は効率よく練習するために、厳選された基礎練習が載っています。

(アルテやモイーズ、タファネル&ゴーベールなどの著名な教本から抜粋されたり、アレンジされているものが多いです。)

今回は3冊ご紹介しますが、実際に使うのはいずれか1冊で構いませんし、他にもこういった基礎練習に特化した本が販売されています。

自分にとって、使い勝手が良さそうな教本を選ぶと良いでしょう。

金野紗綾香/GO!GO!吹奏楽 レベルアップ! フルート

窪田恵美/吹奏楽コンクールまでに身につける!フルート1年間上達トレーニン

泉浩/朝練

 

これらにしっかり取り組み、出来るようになれば、ある程度、曲はスラスラ吹けるようになります。

日々の基礎練習は曲の仕上がりに大きく関わってきます。

必要な基礎課題を練習を取り入れることで、より効率的に曲を仕上げられます。

また、人前で演奏する時に緊張しても、日々の基礎練習ができていれば、練習ではできていたのに、本番では「上手く指が回らなかった」 「良い音で吹けなかった」などという事も少なくなります。

最初の内は、難しいなと思う事もあるかもしれませんが、こういった基礎練習を少しずつ日々のフルート練習に取り入れていくと良いでしょう!

慣れてきたら、30分とか1時間とかで終わらせられるようになっている教本もあります。

あまり時間が取れない人は、その曜日毎に取り組む基礎練を決めてやると良いですね。

エチュード(練習曲)

独学でやる以上、あまり馴染みのない曲というのは集中しづらいのと、吹奏楽ではコンクールの曲以外だと、JPOPなどのポピュラー音楽を演奏する機会が多いと思います。

特にポピュラー音楽はリズムがかなり複雑ですし、そういう曲に慣れるためにも、市販で売っている曲集を練習曲替わりにしても良いと考えます。

市販されている曲集には伴奏CDなどがついているものも沢山ありますが、練習曲として使うなら模範演奏CDがあり、更にアドバイスが記載されている楽譜を選ぶと、フルートで演奏した時のイメージがしやすくなるでしょう。

立花千春フルートレパートリー 立花千春のディズニー作品集 (模範演奏・ピアノ伴奏・楽曲付き)

 

模範演奏で演奏のイメージをし、ポイントに注意しながらやると良いでしょう。

私は模範演奏を聴く時に、奏者のブレスの位置とテンポを揺らす所を楽譜上にしっかり書き加えて取り組みます。

ブレスの取り方は本当に参考になりますよ!

参考音源を聴く時は、最初に奏者がどんな風にブレスを取っているかを、注意して聴きましょうᕱ⑅︎ᕱ"

 

中野真理/フルートのしらべ スタジオジブリ作品集(模範演奏・ピアノ伴奏・楽曲解説付き)

初心者には少し難しい部分もありますが、簡単すぎず、難し過ぎない譜面となっています。

ある程度吹けるようになった人にとっては、フルートらしいアレンジを楽しめるでしょう。

前田綾子/フルート ディズニー・コンサート・レパートリー(模範演奏・ピアノ伴奏・楽曲解説付き)

かなり上級者向けの譜面ですが、吹きごたえはあります!

腕に自信のある方は、ぜひチャレンジしてみてください。

中学生・高校生のための吹奏楽自主練ブック フルート(アドバイス付き)

中学生・高校生のための吹奏楽自主練レパートリー フルート(アドバイス付き)

この2冊は、曲ごとに演奏ポイントや効率よく仕上げるための基礎練習が紹介されています。

模範演奏はないですが、有名な曲ばかりなので、原曲を聴いて、曲のイメージができると良いですね!

原曲を聞く時も、歌い手や演奏者がブレスをどこで取っているか、しっかり確認しましょう。

ポピュラー音楽でもエチュードでもやってみると分かると思いますが、1曲を吹き切るには意外と体力が必要です。

なので、演奏するための体力を身につけるために、1曲、1曲と吹ける曲を増やしていくことはとても大切です!

色んな曲に取り組むことで、経験値が上がり、初見力も身につきます。

基礎練習だけでなく、積極的に曲にも取り組んで行きましょう。

更なる技術の向上をもとめるなら

吹奏楽の場合、コンクールなどで演奏されるような吹奏楽の曲はかなり難解になってきます。

表現はレッスンを受けなければ厳しいですが、技術的な向上を目的とするなら、基礎練習にタファネル&ゴーベールを取り入れたり、ガリボルディやケーラーなどのエチュードに取り組むのも良いです。

ガリボルディ/かわいい練習曲Op.131はJapan Flute Club版のアルテ1巻、巻末に掲載されていますが、曲集単体としても各出版社が販売しています。

ケーラーはドレミ楽譜出版社版だと、1巻~3巻が1冊にまとめられており、かなりお手頃の価格で購入できます。

(1番有名な某出版社のケーラーは誤植が多くて、私もレッスンを受けながら、楽譜にかなりの訂正をされました。)

ダイナミクス(強弱記号)が他の版と比べると、しっかり記載されているので、そこら辺もおすすめです。

因みにケーラー1巻はやさしい練習曲と題されていますが、全然やさしくないです。

楽器屋さんに行く機会があれば、ぜひ店頭でパラパラと中身を確かめてみて下さい(笑)

タファネル&ゴーベール/17のメカニズム日課大練習
ガリボルディ/ミニヨンエチュードOp.131

ケーラー作品33練習曲集 フルートのための35のエクササイズ

あまり馴染みのない曲ばかりなので、音楽的に演奏するのが難しいです。

独学でも意義のある練習をするにはどうしたらよいでしょうか?

基礎やエチュードに取り組むための練習方法!

YouTubeのフルート奏法の解説動画を参考にする

YouTubeでは国内外で活躍するフルート奏者の方たちが沢山有益な情報を動画で紹介してくださっています。

なんとなくではなく、練習の意味を理解した上で基礎練習に取り組むと、有意義な練習になるでしょう。

大塚ゆき/フルート奏法解説


www.youtube.com

 

立花雅和/【水曜フルート学】


www.youtube.com

お手本となる演奏を聴きこむ!

独学でエチュードに取り組むにはやはりお手本となる演奏を聴きこむことが重要でしょう。

吹奏楽部の部員である場合、先輩をお手本にしがちですが、先輩ではなく「プロフルート奏者」の演奏をお手本にしてください。

プロの演奏家というのは、ただフルートの奏法を理解しているだけでなく、楽曲理解をしっかりした上で演奏しています。

聴くだけで、楽曲の意図するところを理解することは厳しいですが、ブレスの取り方やニュアンスなどの勉強になります。

エチュード系の曲は大概が著名な奏者がCDを出していますし、YouTubeでも模範となるような演奏、中には解説動画も出ていますので、参考にすると良いです。

神田寛明/ ガリボルディ:かわいい練習曲 作品131

神田寛明/ケーラー:15のやさしい練習曲 作品33-1&12の中級練習曲 作品33-2

立花雅和/【水曜フルート学】G.ガリボルディ「ミニヨンエチュード」徹底解説


www.youtube.com

 

自分の演奏を録音する

これはとても効果的な練習です。

自分の演奏を録音してみると、吹けていたつもりが意外とトンチンカンな演奏になっていることが多いです。

吹いている時に耳に入ってきていた演奏とのギャップにショックを受けることでしょう。

しかし、うまい人、上達の早い人は基礎練習ですら録音しています。

藝大生もよくやる練習だそうです。

 

 www.youtube.com

録音し、おかしな部分は次の演奏で吹き方やアプローチ変えて演奏し、またその演奏を録音したもの聴いて、どんどん自分の演奏を修正をしていきます。

客観的な耳を養い、奏者の耳と聴者の耳のギャップをなくしていく事で、よりクオリティの高い演奏に繋がっていきます。

楽典(楽譜を読み解くための知識)

レッスンを受けていれば、先生から都度初歩的な楽典を教えていただけますが、独学であれば、別に持っておくと、非常に便利です。
楽譜を見慣れていないと、楽譜をどう見たら良いか、指示記号の意味など分からないことが沢山あり、悩んでしまうと思います。
Googleなどで検索をかけても出ててきますが、検索しようにもそもそも楽譜上の記号名が分からないと思います。
なので、楽典が手元にあれば、パラパラとそれっぽい記号や項目を探すことが出来ます。
音大や専門学校に行く人だと、一般的には音楽之友社から出版されている、黄色い表紙の楽典がよく使われます。
しかし、気軽に読める感じのものではありません。
内容も専門的で、クラシック寄りになります。
その為、使用するのであれば、現代の音楽に対応した、扱いやすく、簡潔に書かれたものを選ぶと良いでしょう。
特に中高生の吹奏楽部向けに書かれた楽典はとても分かりやすいです。
中学生・高校生のための吹奏楽楽典・音楽理論侘美秀俊   
ハーモニクス倍音)など、音楽の仕組みが本当に分かりやすく、丁寧に解説されています。堅苦しくないのが良いですね。
参考に資料も大きくて見やすいです。
必ず役立つ 吹奏楽ハンドブック 楽典編
こちらはシリーズとなっており、他には和声法などがあります。

 

音楽之友社が出している黄色い表紙の楽典を使っても良いですが、無味乾燥で、とっつきにくく感じる方も少なくないです。
専門的に学びたいのであれば、後々手に取っても良いかもしれませんが、まずは導入として分かりやすそうなものを1冊、手元に置いて置くと良いです。

読み物として

昨今は現役のフルート奏者によるとても参考になる図書が沢山出ています。
一つ一つの練習の意味や向き合い方、フルートを吹いてて起きるトラブルについてなど、内容は様々です。
細川 順三/絶対! うまくなる フルート100のコツ
神田 寛明/もっと音楽が好きになる 上達の基本 フルート
立花 千春/パワーアップ吹奏楽!フルート

 

次の本は、吹奏楽の中のフルートパートとしての取り組み方について、重きが置かれています。

酒井 秀明 他1名/部活で 吹奏楽 フルート 上達BOOK コツがわかる本

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?フ
ルート初心者で、更に独学でフルートを上達させようと思うと、練習をいかに効率よくし、そして継続していくことが重要になってくると思います。
世の中には他にも多くの教本が出回っています。
実際に楽器店に足を運んで、分かりやすそうな、自分に合った教本を楽器店などで探してみてください!!
また、日頃から沢山の演奏を聴いて、こんな風に演奏したいという、憧れの奏者さんを見つけるのも、上達する上でとっても大切です!!
ぜひコンサートにも足を運んで生演奏を聴いてみて下さい。